法人用ETCカード徹底解説
2023/09/01現在、お仕事で高速道路を使用する機会はありますか?
使用頻度に差異はあるけれど、少なからず使用する会社も多いのではないでしょうか。
いまだに個人で高速道路料金を立て替え、あとから経費で精算する会社もありますが、
最近では法人用ETCカードを使っている会社がほとんどです。
法人用ETCカードは、意外と種類が多く、選択肢はたくさんあります。今のETCカードが会社に本当にマッチしているか、確かめてみるのもいいかもしれません。
この記事では、法人用ETCカードの基礎知識や種類を解説していきます。
法人用ETCカードとは
法人用ETCカードとは、法人名義(個人事業主含む)で契約するETCカードです。
使用方法などは個人用と同じですが、法人用では利用に応じて割引やポイントが付与され経費削減につながります。
また、会社にまとめて請求されるため支払いが一本化され、個人で立て替えた場合の経費精算作業も簡略化することができます。
ETCカードは数種類あり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
さらに種類ごとにいろいろな会社があり、会社によって細かなサービス・割引形態が異なります。
どのETCカードが適しているかは、使用頻度や使用方法によって変わってきます。
会社に適しているETCカードを見極め、経費削減や業務の簡略化を目指しましょう。
法人用ETCカードの種類
法人用ETCカードは大きく分けて以下の3種類となります。
- NEXCOと直接契約し発行するETCカード
- クレジットカード会社発行のETCカード
- 協同組合が発行しているETCカード
※この記事で「NEXCO」とは、 NEXCO東日本・NEXCO中日本・NEXCO西日本 の総称として使用しています
① NEXCOと直接契約し発行するETCカード
NEXCOが発行しているETCカードで、ETCコーポレートカードといいます。
ETCコーポレートカードは割引幅が大きい大口・多頻度割引が受けられます。
■割引例
利用金額が高ければ割引額が大きいのが最大の特徴です。高速道路の利用頻度が高い会社に適しており、逆に利用頻度が少ない会社では割引が少なく恩恵が受けられない可能性があります。
クレジット機能が付帯していない(ETCカードとしての機能のみの)ため、申し込みの際に審査がありません。
そのため開業したばかりの会社や個人事業主でも申し込みできます。代わりにETC車載器の搭載の有無や車両制限令違反の点数がないかなどが審査されます。
また、割引額が大きい分、制約も多くあります。
■特徴
メリット | デメリット |
・割引が多い
・クレジット機能なし
・審査なし
→開業したての法人・個人事業主も申込可
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・使いまわし不可
・枚/月の利用額が5,000円まで割引なし
・契約手続きが煩雑
・保証金or保証会社が必要
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注意すべき点は使いまわし不可と保証金が必要な点です。
ETCコーポレートカードには車両番号が記載されていて、その車両専用のカードとなり、他の車両で使用はできません。
他の車両で使用すると、不一致走行となり、その走行は割引が受けられず、悪質な場合は利用停止などのペナルティが課されることがあります。
また、NEXCOに対し、1か月利用金額の3倍程度の保証金をあらかじめ積み立てるか、銀行などの金融機関保証が必要です。機関保証を受けるためには審査があったり、保証料がかかるなどがあるため事前に確認しておくと良いでしょう。
② クレジットカード会社発行のETCカード
クレジットカード会社発行のETCカードは個人でも持っている方が多いため一番身近なETCカードではないでしょうか。
■特徴
メリット | デメリット |
・個人で申請可
・申請が簡単
・使いまわし可能
・クレジットカードと合わせて請求
・複数枚発行可能(取り扱い会社による)
・利用に応じたポイントの付与(取り扱い会社による)
(例:楽天ポイントなど)
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・クレジットカード必須
・開業したての法人は審査が通りづらい
・一部割引は別途登録作業や管理が必要
・NEXCO以外の割引制度がない
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現在、法人用クレジットカードをお持ちの場合、そのクレジットカードに付帯するETCカードがもっとも一般的で簡単に発行できます。
反対に法人用クレジットカードを持っていない場合、クレジットカードを発行する必要があります。起業間もない場合は、審査が通りにくい場合もあるため注意が必要です。
③ 協同組合が発行しているETCカード
3つめは、協同組合が発行しているETCカードです。協同組合に加入し、組合員としてETCカードを発行してもらいます。
協同組合では2種類のETCカードを発行しています。
- ETCコーポレートカード
- 法人ETCカード
■特徴
メリット | デメリット |
・契約手続きが簡単
・利用額が多い=割引が多い
・保証金不要(取り扱い場所による)
・少額利用でも契約可
・どのカードがいいか提案してもらえる
・クレジットカードが必要ない
・1台の車両で4枚発行可
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・コーポレートカードの罰則が厳しい
・組合によってルールに細かい違いがある
・車載器のセットアップが必須
・手数料や組合費がかかる(組合による)
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協同組合に加入する
ここからは、協同組合でETCカードを発行する場合を深堀していきます。
この記事では、協同組合とはETCカードを発行している事業協同組合という意味合いで記述しています。
中小企業等協同組合法では、組合の目的を組合員による相互扶助を目的とすると記載されています。
加入の際は、電話かWebから申し込むと必要書類が送られてきます。必要なものは次のものになります。
- 加入申込書
- 会社の登記簿謄本(個人事業主の場合は確定申告書または開業届)のコピー
- 出資金1万円 ※脱退時返却
- カード申込時、車検証・セットアップ証明書
組合によって細かい部分で違いがありますが、ほとんどの組合で共通することを中心に記載しています。
協同組合の選び方
組合加入を考える上での比較ポイントを考察すると、以下に絞られます。
- 割引率(額)
- 組合の使いやすさ
協同組合のETCカード割引率について
- ETCコーポレートカード
NEXCOが発行しているカードのため、基本的にはどの組合でも同じ割引率になります(割引率は図1参照)。よって、組合によって大きな差がでることは無いでしょう。
あえて1つ、差が出ることがあるとすると、コーポレートカードを何枚発行できるか、という点です。
コーポレートカードの発行基準は組合によって若干異なるため、必要ETCカード枚数のうち、コーポレートカードが何枚発行されるかは組合により変わる可能性があります。法人ETCカードより割引率が高いコーポレートカードを多く発行したほうが組合員はお得になります。
例えば、毎月2万円走る車両に対してコーポレートカードの発行は難しいでしょう。しかし、仮に毎月6万円走る車両が別にある場合、2台併せた平均走行額は4万円(〔2万円+6万円〕÷2)になります。この場合は、2台ともにコーポレートカードが発行されるのか、コーポレートカードと法人ETCカードを1枚ずつ発行になるのかは、組合によって差が出るところになります。
このように組合によって発行基準が微妙に違うため、コーポレートカードの発行枚数が変わってくる可能性があります。
実際には組合を比較検討する際にこの点まで加味するのは難しいかもしれませんので、頭の片隅に入れておく程度で良いでしょう。
- 法人ETCカード
このETCカードの割引は、組合によって異なるため、加入時の比較する大事な箇所になります。
走行料金の2~5%割引になる組合が多いです。中には、先に述べたマイレージサービスのポイントをそのまま割引にする組合もあるようです(走行不足などによるポイントの失効も自己責任)。ポイントをそのまま割引する場合は手数料や組合費を比較的高く徴収する傾向があります。
大事なのは、割引率だけではなく各種手数料も併せて比較することです。
法人ETCカードは、あまり高速道路を乗らない場合もあるため1%の割引差が金額的には大きくありません。例えば1万円利用して、2%割引で200円、5%割引でも500円で、差額が300円です。
一方で、手数料には、ETCカード使用料や組合費、発行手数料など、いろいろな名目が組合によって存在します。諸手数料が毎月1000円以上かかる組合もあるため、割引よりも大きな差が出る可能性があります。
この点は、ぜひ考慮してください。
組合の使いやすさについて
2つ目の比較ポイントは、組合の使いやすさです。
組合の使いやすさとは、連絡の取りやすさやコンテンツの充実などがあげられます。
電話がなかなか繋がらない、メールの返信が来ないなど、加入して初めてわかることもありますので、連絡の取りやすさを加入前に判断するのは難しいかもしれません。
一方で、コンテンツが充実しているかは事前に確認できるのでチェックポイントになります。
最近はETCカードの発行申し込みなどをWeb上で完結させることができる仕組みを用意している組合もあります。
- ETCカード発行申請などの申し込み
- 請求書の確認
- 車両やETCカードの登録情報の確認
走行~支払いまでの流れ
高速道路料金の請求は、ほとんどの組合が月末締めの翌々月引き落としにしています。
例えば1月走行分の請求は、2月20日前後に請求書が届き、3月の前半に引き落としとなります。
請求書が届くのに翌月20日までかかるのは、NEXCOから走行データが組合に届くのが毎月15日以降になるからです。
組合は、NEXCOからの走行データが届くまでは、組合員がどのような走行をしたかを知る術がありません。
組合は走行データが届いたら、データを解析し、組合員ごとの請求額を算出します。その後、請求書の印刷・封緘・郵送となるため、組合員に請求書が届くのが早くても20日前後になってしまいます。
なお、Web上で請求書が確認できるコンテンツを用意している組合であれば、請求額の算出後すぐにアップロードするため、紙の請求書が届くより数日早く請求書を確認することができます。
最後に
いかがでしたでしょうか?
ご説明したようにETCカードにはさまざまな種類があります。
会社の業態によって高速道路の使用頻度が異なるため、その業態に適したETCカードも違ってきます。
特に高速道路の使用が多い会社にとっては、経費へのインパクトが大きいためしっかりと割引を受けられるETCカードを選びましょう。